意味なし駄文

「五里夢中」

久しぶりに悪い夢を見た。
うなされて飛び起きたところをマルハジの奴に見られた。


ちょっと心配していたようで、「何の夢を見たんだよ。」とネチッこく聞いてきた。
別に話しても特に問題のない夢だから話してやった。


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夢の中で僕は霧の中をずっと走り続けていた。
何かに追われているような感覚をずっと感じた。
途中で数人ほどの人とすれ違った。
それはどこかで見たことのある「ダレカ」であった。


でも僕の知っている人たちではなかった。
皆青白い顔をしており、目はどこか虚ろであった。


僕はその横を走りぬけた。
「ダレカ」たちは皆霧の中に飲まれていった。


あの中に飲み込まれればいずれ僕もそうなるんだ。


そんな恐怖がなぜか頭をよぎっていた。


やがて足がもつれ、僕は転んだ。
ミルクのような濃い霧が僕を包み込んでいく。



完全に霧に包まれたかと思った瞬間に目が覚めた。



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話し終わる頃にはマルハジはもうどっかに行ってしまっていた。
(…自由な奴め!)



あの夢は何だったのだろう?


雨戸を開けるとそこには一面の霧が広がっていた。
家から外は真っ白で、まるで家が空に浮かぶ島のようになっている。
そういえば、中学校の頃住んでいた「桐の台」は山がちな地形で霧がよく発生していた。



あの時にみた「ダレカたち」の顔を思い出してみる。
中学の卒業アルバムを見返してみてみると、すぐに共通点が浮かんだ。
皆、隣のクラスの顔であった。



「あの事件」と「霧」
夢を見た原因が少し分かってきた気がした。

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僕が中学2年の時である。
隣のクラスの雰囲気が或る日突然変わった。



以前は、いじめや暴力が時折見られたあまり評判の良く無い(むしろ悪い)クラスであった。
…というのも恐らく、学校一のワルとも言われていた「海老名」という奴(とその取り巻き)が、クラスを牛耳っていたからである。


「海老名」もいじめをしていた張本人であり、なんだかんだ言って結構チマチマとクラスメイトにちょっかいを出していたらしい。


そんな「海老名」にサッカー部の「瀬戸」が教室で背負い投げをかましたところから全ては変わった…と僕は思う。
確か、「海老名」からいじめを受けていた「砂川」という子が反発して、それにキレて「海老名」が手を出そうとしたのが発端だった…はずだ。



あの日は色々と隣のクラスがワイワイやっていたので覚えている。


その事件以来、隣のクラスは明るいクラスに変わっていった。

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普通に深イイ(深くは無いか…w)話のような気もするが、一つ気にかかることがある。


なんで「瀬戸」が「砂川」を助けたかだ。
元々、「瀬戸」は人前に出たがるような性格ではない。大体、クールに物事を観察するほうだ。(背負い投げは彼が柔道の有段者であったことに原因があるがw)



別に「瀬戸」と「砂川」が特に仲が良かった訳でもない。
しかし、その事件以来、「瀬戸」は「砂川」とも仲良くするようになり、「砂川」も社交的な人物に変わった。



「砂川」は成績優秀だが内気な性格。いわゆるガリ勉タイプの子だった。
そんな性格からか、周囲からねたまれていた節があった。
一応学校には来ていたが、放課後は逃げるようにクラスから去るような奴だった。


多分、あの事件以来一番変わったのは彼だ。
クラスの人たちとも良く喋るようになり、友達も沢山出来るようになった。
最終的には「海老名」とも和解してしまい、クラスの雰囲気をガラリと変えてしまった張本人だと僕は思う。



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そんな奇怪な事件が起きたことをどっかで思い出したから、あんな夢を見たのだろう。



そんな気がした。



でも、あの顔面蒼白の人たちは何だったのだろうか?



分からない。



あれが隣のクラスの人たちだとしたら、あの事件に関係があるのだろうか…。



少し考えた後、僕は考えることを止めた。




やめやめ。
そんなことしてどうなるんだよw


ハッピーエンドになっていることを穿り返して何になる。




とりあえず今日はもう少し寝ておこう。



霧が晴れなきゃ走りにいけないし。



今度はいい夢見れるといいな。




〜以上:テイクの思想より抜粋〜